現在沖縄県では大宜味村、国頭村、東村、伊江村、石垣市にお住まいの65歳以上の方を対象に、見守りサービス「やさしいみまもり」を2026年2月末まで無料で利用できる取り組みを行っています。
この見守りサービスの特徴は、プライバシーに配慮しカメラ等は使わず、センサーを設置するだけで居住者の動きや睡眠時間を検知し「見える化」できることです。また、記録されたデータはご家族の方がお手元のスマホやタブレットで簡単に確認することができます。
加えて、今年から新たにアラート通知機能が加わりました。一定時間、お部屋での動きや睡眠の様子が確認できない場合、ご家族等へ通知が届く仕組みです。早めに異変に気づいて対応できるので、より安心して見守りができるようになります。
今回、このサービスを利用しているご家族と、サービス運営企業の担当者にお話を伺いました。
玉那覇キヨさん(中央): 「やさしいみまもり」利用者(母:大宜味村在住)
増渕愛子さん(左):「やさしいみまもり」利用者(子:那覇市在住)
佐久本さん(右):株式会社おきでんCplusC(運営企業)
ー 今日はよろしくお願いします。まずはじめに、この「やさしいみまもり」をお知りになったきっかけを教えていただけますか?
増渕愛子さん
大宜味村の広報誌が月に1回配布されるんですよ。そこで紹介されていたのを見つけて「あ、いいサービスがあるな」と思って。
ー それで、申し込もうと思ったんですね。
増渕愛子さん
はい。私は自分の家が那覇にあるんですが、当時はそちらにも生活のケアが必要な家族がいる状況でした。一方で大宜味村にひとりで暮らす母(玉那覇キヨさん)のことも心配で、頻繁に様子を見に来る必要がありました。
母に「那覇で一緒に住もう」と誘っても、やはり長年暮らしている大宜味村を離れるのは抵抗があるようで、どうすれば良いだろうとすごく悩んでいたんですね。そんな中、この見守りサービスを見つけたんです。
そして、日中は週2、3回デイケアを利用しつつ、この「やさしいみまもり」を平行して使う形でスタートしました。その頃はいろいろと大変な時期だったので、このサービスがあってとても助かりました。
ー いまはお母さんとどんなふうに暮らしているのでしょうか?
増渕愛子さん
今は私の那覇の家の事情も変わり、平日はこちらに来て母と過ごしています。母は見た目は元気そうですが、足の具合が良くないんですね。ひとりでご飯を作ったり、掃除や洗濯をするのが難しいので、ウィークデーは私がサポートしています。
一方で週末は私も仕事があるので、那覇に戻って集中的に自分の時間に充てています。ですので週末は「やさしいみまもり」をすごく頼りにしていますね。
利用を始めて3年になりますが、とても支えになっています。ありがとうございます。
ー なるほど、よくわかりました。この「やさしいみまもり」を使い始める時に不安などはなかったですか?
増渕愛子さん
不安はあまりなかったです。というのも、このような見守りサービスでカメラを使うものもありますよね。そういう仕組みだとプライバシー面での抵抗が大きいですが、この「やさしいみまもり」はカメラを使わず、センサーのみで活動状況を検知するというお話でしたので全然不安はなかったです。また、今年からアプリが改善され、すごく安定感も増しています。
ー 利用開始時のセンサー機器の設置やアプリの設定は佐久本さんがおやりになったのでしょうか?
佐久本さん
はい、そのような前準備はすべて私のほうでやらせていただいています。実際の設置にかかる時間は15分程度と短く、簡単に設置することができます。
ー では、改めてこのサービスの良いところを教えてください。
増渕愛子さん
それはもう「安心感」ですよね。母が具体的に何をしているかまでは分からないですけど、寝ているとか動いているとかは、青とオレンジではっきり分かりますので。ちなみに、以前は空白が多くて状態がよく分からないこともあったんですが、今はそれも改善されています。
佐久本さん
センサー自体が変わったので、精度もさらに上がっています。人とそれ以外、例えばペットや扇風機等との区別もできるようになりました。
増渕愛子さん
あと、デイケアから帰ってきたというのも把握できます。
それから、見守りデータを妹と共有できるのも良いですね。ふたりで見ているので、妹が何か気付いたら私に連絡が来ます。母をふたりで見守っている感じです。
ー この「やさしいみまもり」は機械が苦手な人でも使えると思いますか?
増渕愛子さん
そうですね、スマートフォンアプリに慣れている人なら不自由なく使えると思いますよ。慣れていなくても、教えてあげればそんなに難しいことはないはずです。
以前はログインが必要になることが多くてちょっと大変でしたけど、それも改善しましたしね。
ー これからも使い続けたいですか?
増渕愛子さん
もちろんです、とても助かってます。
ー 他の人にもおすすめしたいですか?
増渕愛子さん
そうですね。私たちのような状況の人がいればぜひ勧めたいです。ひとり暮らしのお年寄りのところによく行く民生委員さんに紹介すれば、このサービスがさらに広がるかもしれませんね。
ー このサービスを利用するにあたって、キヨさんご自身は特に何も意識していないのでしょうか?
玉那覇キヨさん
はい、全く何にも意識していないです。ふだんどおり生活していますよ。
増渕愛子さん
それでちゃんとデータが取れるのが良いですよね。
ー ではしばらくはこのサービスも利用しながら、今の生活スタイルをお続けになる予定でしょうか?
母が那覇で一緒に暮らしてくれたらとも思いますが、母としては、那覇に行っても誰も知り合いがいませんし、つまらないですものね。話す相手も、知ってる人もいないので。
玉那覇キヨさん
やんばる大好きです。
増渕愛子さん
やっぱりそうなんですよ。ですので、この見守りサービスも使いながら、母は自分が気に入った土地で、まだまだ元気で過ごしていくと思います。ご飯もいっぱい食べていますしね。今後もお世話になりますがよろしくお願いします。
ー こちらこそ今後ともよろしくお願いします。今日はインタビューありがとうございました。