「りゅうさんち」から生まれた地域との繋がり。そして、そこから広がる加藤さんが考える新たな挑戦。--今まで飲食業のお仕事はされていなかったのですね、いざ、レストランを開業するとなると、いろいろとお金がかかりそうですが、そういった費用面はどのようにされていたのですか?レストランは自宅と兼用にして、東京のマンションを売った時のお金などで購入したので、家賃という面では、コストをかけずに経営ができています。レストランを始める時は自分の資金も出したのですが、残りの必要な資金はクラウドファンディングを活用しました。返礼品として食事券を配布し、先行販売のような形を実施したんです。また、オープニングイベントを開催し、クラファン応援者に来てもらえるような導線を作って宣伝し、そこからは、口コミで少しずつ広がっているイメージです。現在は、自分1人の株式会社があり、そこでは経営コンサルタントの事業を引き続き行い、このレストランは個人事業でやっていますが、いずれは株式会社の方に入れる予定です。--実際に、コンサルとは違う実働のビジネスをされてみて、いかがですか?実際にレストランを経営してみて思うことは、数量×単価&数量×回転数で売り上げが決まってしまうと考えると、正直、飲食は厳しい面が多いかなと思いました。けれども、僕はただこの空間が好きで、将来に向けて楽しい仲間と出会ったり、仲間が集まれる場所をキープしていきたい意味ではずっとやっていきたいなと思っているんです。--人と人が出会う場所、素敵ですね!そこから、また新しいコトやモノが生まれると思うと、ワクワクしますね。また、お店の営業形態はどのようにされているのですか?お店の形態としては完全予約制にしていて、極力いろんなロスを少なくする。ただそうすると客数は減ってしまうので、それをBtoBで新しい商品を通販で売れるようにしたり、レトルト商品なども導入しながら、サービスの幅を広げていきたいと思ってます。夜の営業に関しては、お客様の予算に合わせて、お任せコースのみを提供しています。完全予約制と聞くと、皆さんからは「(来店するのに)ハードルが高いよ~(笑)」って言われるんですけど、でも、来てもらえたらゆっくり僕とお話できるみたいな感じにしていて、仕事や生活のなかでの相談をしてもらったり、例えば移住の相談も含めて、お酒を飲みながら人生相談ができるマスターみたいな感じで来てもらえたらと思うんです。沖縄に来て思うことの一つに、ワークライフバランスというよりもワークインライフというような暮らしをしている人が多く感じるんです。僕のこの「りゅうさんち」も沖縄だからこそ、スタートできた気がするんです。--ワークインライフ、暮らしのなかに仕事がある。スローライフという考えに近いんでしょうか。それでも、やっぱり2、3回しか訪れたことがなかった沖縄へ移住することに対して、不安なことはありませんでしたか?僕自身は新しいものに飛び込むことに対してワクワクするほうなので、もし駄目だったら東京に戻ればいいかなくらいだったので、そんなに不安はなかったのですが。やっぱり沖縄に来た当初は知り合いも全くいない状態だったので、なかなか知り合いが増えないなというのは思っていました。僕自身が県外で仕事をしていて沖縄での仕事がなかったので、どこで知り合おうかなみたいな感じでした。それこそネットを通じて、移住者が集まる飲み会や沖縄好きな人がいるコミュニティに行ったりして仲良くなった人もいたんですが、金銭や仕事、人間関係ですぐに地元に帰ってしまう人も多かったんです。それから、いろんなBarを訪れるなかで行きつけのお店ができて、そこのマスターさんと仲良くなり、お客さんを紹介してもらって、そこから仕事に繋がったり、飲み仲間になったりして少しずつ人脈が増えていきました。「りゅうさんち」を始めてからは、地元の商工会に入ったり、地元の祭りに出展するなかで、僕が沖縄にこれから先も居ようとしているのかなって周りの人が思うようになってくれたのか、急に仲間が増えていきました。一回仲間内に入るといろんな人を紹介してくれて、沖縄の人の温かさを感じるとともに人脈の広がるスピードに驚かされました。--そうですね、「いちゃりばちょーでー」(一度会えば、兄弟)という沖縄の言葉があるように、沖縄の人の横の繋がりはすごいですよね。それ以外にも、沖縄に移住して驚いたことも多くあると思うのですが、ずばり、沖縄に移住して良かったことは何ですか?自宅兼レストラン(りゅうさんち)からのこの景色を毎日、見られること。夜になるとテラスで友達とワインを飲みながら、焚き火しながら、いろいろ語り合う。そんな時間が好きなんですよね。もうこの時間が幸せだよな~って思うんです。くだらない話も含めいろんな話をしながら、仲間がいて自分の作った料理を提供するんです。ここは街灯も視界に入らないので、星も綺麗に見えるんですよ。特に晴れている日は30分に1個ぐらいのペースで流れ星も見える。朝起きると、目の前には真っ青な海が広がり、ベランダには小鳥たちが遊びに来て鳴いているんです。--加藤さんが求めていた自然のある暮らしが実現したんですね!次に、沖縄へ移住してからの暮らしについて、教えてください。現在は沖縄で出会った奥さんと二人で暮らしています。奥さんは同じうるま市内で(AimerOkinawa)というタルトと焼き菓子のお店をやっています。今は僕のおばあちゃんも沖縄に移住したいとなって、2023年の5月くらいに沖縄に引っ越してきたんです。92歳の一人暮らしなので、沖縄で家を借りることが難しかったので、今は僕らがほかの場所で賃貸を借りて住んで、自宅兼レストランのほうに父とおばあちゃんが一緒に住んでいます。おばあちゃんは一人で散歩に出かけたりするほど元気ですが、当初は老人ホームとかも考ました。ただ満員だったんです。そのうえ、順番待ちをしていても要介護の人が入所を希望すると順番が入れ替わることもあると聞いていたので、一緒に住むことになりました。--奥さんはパティシエさんなんですね。そして、おばあちゃんも沖縄に!家族のみなさんが沖縄に集まってきますね!(笑)最後に、加藤さんが今後、沖縄で挑戦したいことはありますか?大きく2つあります。1つは、飲食の仕事で別の店舗を出してみたいなというのがあります。もう少し人通りのあるところ(例えば、那覇など)で営業してみたい。ただ、そこは人に任せる店舗にして、私自身はオーナーという形で経営してみたいと思っています。そのスタイルで自分は「りゅうさんち」を続けながら、うちの奥さんと一緒に、例えば昼はカフェやって、夜はレストランとかスイーツは横でいつでも買えるような、お酒の飲みながら、食事が楽しめるようなお店を人に任せるスタイルで、人通りの多いエリアで一度勝負してみたいなっていうのはありますね。もう1つは飲食業ではなく、コンサルの延長みたいな感じなんですけど。沖縄で生活している人たちがもっと幸せに生きられるきっかけづくりのお手伝いをしたいなと思っています。いろんなツールを使いながら、シングルマザーの方たちが効率よく働けるような仕組みについてお伝えする機会を提供したり。定期的にここでお金の勉強会とかをやっているのですが、そういった僕が今までに暮らしのなかでやってきたことをどうにかして伝えていきたいなというのがあります。そこで、今、地域の学童の子どもたち向けにお金について遊びながら学べるゲームを海邦銀行の方たちと一緒に作ってみようという取り組みをやっています。こういった活動を長期スパンで周りの人が幸せになれるような取り組みを今後、やっていきたいと思っています。加藤さんのレストランヘルシービストロ「りゅうさんち」https://ryusan.okinawa.jp/Instagram@ryusan.okinawa加藤さんの中で、沖縄でやりたいことが、次々と計画されていることに驚きました。経営コンサルタントという経歴がレストラン経営だけでなく、地域活動にも広がっていき、これからも新しいモノやコトが生まれていく「りゅうさんち」を楽しみにしています。インタビュアーProfile/山﨑柊平北海道出身。沖縄県地域おこし協力隊として、沖縄那覇市へ移住。協力隊を卒業後は、養蜂家として活動中。前編を読む|自然のある場所を求めて出会った沖縄。現在、住んでいるうるま市にたどり着くまで・・・