うるま市石川の高台にある予約制のレストラン・ヘルシービストロ「りゅうさんち」では、お店の窓越しに青い海を一望でき、オリジナルスパイスを使用したカレーや、野菜中心の健康的なコース料理が楽しめます。お店のオープンキッチンに立つオーナーシェフの加藤さんは、東京のご出身。移住後に初めて携わったレストラン経営とは思えないほど、軽快な手捌きで料理をしながら、訪れたお客さんに、気さくに話しかける姿が印象的でした。レストランではお食事だけでなく、様々な人が出会い、交流する場として、「ワインとバイオリン演奏を楽しむイベント」や、なんと「貯金や投資にまつわるお金の勉強会」を開催しているとのこと。それには、加藤さんの意外な経歴が活かされています。加藤さんの移住ストーリーを、ぜひお読みください。先輩移住者プロフィール名前:加藤龍如(かとう りゅうすけ)さん職業:カフェレストランシェフ兼経営コンサルタント/ヘルシービストロりゅうさんち出身地:東京都移住年:2016年移住地:うるま市家族構成:パートナー自然のある場所を求めて出会った沖縄。現在、住んでいるうるま市にたどり着くまで・・・--加藤さんはなぜ、移住先として、沖縄を選ばれたのですか?元々、沖縄がとっても好きというのはそこまで実はなかったんです。過去に沖縄に訪れたのは3回くらい。移住された方の記事を読んでると、「沖縄が好きなんです!」という方が多いので申し訳なく思ってしまうんですけど。(笑)ただ、元々将来的には自然のあるところに行きたいというのは漠然とあって。山や川があるような場所をイメージしていたんです。父と今後の話をするなかで、父も同じく移住したいという話をしていて、暖かい所が良いということで。僕と父の希望に合う場所を探していました。--お父さんと親子2人で移住されたんですね!沖縄以外にも、移住候補地はあったのですか?はい、そうなんです。東京から離れてどこかに行こうというのは決まっていて、エリアは特に決めず、他県も含めていろんなところを検討していました。沖縄に移住された方のブログを見たりもしたのですが、実際に行ってみないと分からないだろうなあと思い、とりあえず、一度、旅行も兼ねて一週間くらい滞在してみることにしました。レンタカーを借りて、本島内をぐるっとまわりました。--観光とは違った暮らすことをイメージしながら、短期間、滞在してみることは大切ですよね。沖縄県のなかでも、本島南部・中部・北部・離島とさまざまな地域がありますが、現在、在住のうるま市を選ばれた理由は何かございますか?沖縄への移住を検討し始めたころ、東京で不動産会社をされている沖縄出身の知り合いの方の紹介で、「自分の親族が沖縄で不動産会社をしているので、よろしければ、お繋ぎしますよ」とご紹介頂きました。当時はまだ沖縄の土地勘に詳しくなかったので、移住希望地域というよりは物件の金額と広さで絞って探してもらいました。今住んでいるうるま市以外にも、南城市の物件を見に行ったりもしました。その時に、たまたまいい所が空いたよと言われ、連れてこられたのが、ここ(現在の自宅)でした。その後もいろんな物件を探しまわったのですが、いい場所が見つからなくてどうしようかなって思っていたんです。そんななか、別件で沖縄に訪れていたタイミングで、たまたま不動産会社さんから「今、沖縄にいますか?」と電話がかかってきました。例のうるま市の物件についての連絡でした。もともと物件の販売価格も高かったのですが、その売主さんが税金の関係等で早めに処分したいと思っていたらしく、金額が大幅にドンと下がったんです。物件購入予算の範囲に入ってきたので、改めて物件と景色を見て、じゃあここにします!みたいな感じで、決めちゃいました。このまま物件が見つからなかったら、長崎や福岡にも見に行ってみようかなというタイミングだったので、あのタイミングで沖縄に来てなかったら、もしかしたら今は沖縄にいなかったかもしれないですね。その後、物件の契約で2016年の3月には沖縄に来たのですが、リフォームが必要で、実際に住み始めるまでに3~4か月かかりました。--いきなり沖縄の物件を購入して、東京から移住というのはなかなかハードルが高いように思うのですが?元々東京で持っていたマンションが売れるまで、一時的に父の家に住まわせてもらっていたんです。その時に、夜一緒に飲みながら、これからの生き方や移住の話になって。マンションが売れたら、次に住む場所を探さないといけないし移住するならちょうどいいなあって。また、大きな仕事の切れ目もあって。そういうのも重なってちょうど良かったんです。--住み替えや、お父さんとじっくり話す機会などが重なって、移住を考える切っ掛けになったということですね。ちなみに、東京ではどんなお仕事をされていたのですか?経営コンサルタントのお仕事をしていました。20代の頃は、時間に縛られる仕事をしていて、プライベートの時間もあんまり取れないみたいな経験をしていたので、いかに時間を自由にするかって考えた時に、やっぱり会社に所属しているだけだと難しいなあと思ったんです。そこで独立の準備を始めながら、もといた会社の仕事を受けたり、他の仕事も増やしていくという感じでコツコツとやっていました。30歳頃には独立をして、今でも続けて12年ぐらいになりますね。経営コンサルタントでは、地方でセミナー等を行うことが多かったのですが、コロナで全部キャンセルになってしまったんです。セミナー開催と紐付けて受けていた個別コンサルのお仕事も、少なくなってしまいました。これをきっかけに改めて、いざ自分がやりたいことは何だろうと考えた時に、自分が発起人となって実働のビジネスをやってみたら、自分のコンサルティングの能力の幅や深さが変わるかなと思ったんです。実際に経営にチャレンジしてみることで、多くの気づきや情報を得られるだろうと。レストランを開業するにあたっては、飲食店での勤務経験などは特になかったのですが、元々料理することがすごい好きで、普段から、料理教室や料理本を通して、独学で学んでいました。週末は自宅に人を呼んで、みんなに料理を提供しながら楽しむこともよくやっていましたね。後編を読む|「りゅうさんち」から生まれた地域との繋がり。そして、そこから広がる加藤さんが考える新たな挑戦。