
先輩移住者インタビュー
斎藤 ゆい(さいとう ゆい)さん職業:久米島町教育委員会 久米島高校魅力化支援事業 嘱託員
神奈川県出身(移住年:2013年)
家族構成:独身
地域おこしの要となる
久米島の魅力を高校生に発信する
ずっと海外と関わりのある仕事をしたいと思っていた斉藤さん。大学院卒業後は東京の国際協力NGOでアジア太平洋諸国の農村開発の仕事に携わっていました。そこでの業務は助成金や民間からの資金集め、事業の進捗管理、報告などの事務関係で、大きな資金を扱うやりがいのある仕事だったということです。
実際に海外の農村開発を行う場合、戦後日本の生活改善運動や現在各地で行われている地域活性の手法を参考にしているということもあり、日本の事例についても勉強を重ねていくうちに、地域おこしに強い関心を抱くようになったそうです。
丁度そのタイミングで斉藤さんが学生時代からお世話になっていたNPOが、久米島とパートナーシップを組んでいた関係で、現地で「高校魅力化」の担当者として活動できる人を探している話を聞き、久米島に移住することに。
元から離島とか山間部での暮らしには興味があったそうで、久米島が目指している持続可能な社会という目標も興味深かったそうです。自分たちで責任を持てる範囲のコミュニティで生活をしたら、エネルギーや食糧などいろいろな問題が解決するのではないかという自分の考えと、町の目指すところが近いと思ったのが決心した理由なのだそうです。久米島での地域おこしの仕事のことや暮らしについて斉藤さんに伺いました。
仕事の内容と業務を進めるうえでの工夫を教えてください

移住に関しては3年限定という契約だったので、一度は飛び込んでみようということで、そんなに不安はありませんでした。最初の仕事は久米島高校生徒募集のためのパンフレット作成や東京・大阪などで生徒募集の説明会開催、募集のために必要な町の制度の整備でした。もちろん自分一人では出来ないので、高校や教育委員会、地域の方々にも色々と動いていただきました。
久米島では島外からの留学生を募集していますが、最初一人も来ないんじゃないかと思っていたくらいなので、こんなに来るんだとびっくりしています。ちょっと勘違いする人も多いのですが、特に不登校の子を受け入れているわけではありません。離島・久米島を通して、社会を勉強して欲しいという思いなんです。地域課題の解決に興味のある人材を募集しています。
業務については、元々全然状況がわからない立場でしたから「まずは聞く」という姿勢を持ちました。仕事の進め方についてもルールがあるだろうから、それには逆らわないようにしようと思っていました。またよそ者が出ると角が立つこともあるので、自分は前に出ず周りの人に相談したり、逆に知らないこととして島の人だと言いづらいだろうことを言ってみたり、「他所の人」という立場をうまく調整していったと思います。
久米島ならではの暮らしというのはありますか
私自身はアパート住まいです。久米島は結構大きな島で、県内大手のドラッグストアチェーン店があるくらいなのである程度ドライにも生きていけますが、久米島出身の友達の話を聞くと、親戚づきあいや地域のおつきあいは結構濃いみたいですね。でもそれは私の地元も一緒です。ただ小さい島なので情報の拡散がツイッターより早い(笑)。
あと公営塾の仕事で島外から来ている人たちは地域の清掃活動に積極的に関わっていて、そこで人間関係を広めているようです。これも大事ですよね。買い物はものによっては手に入らないものもあるので、若い人はアマゾンなどを使っています。買い物では意外とこれがないんだ、というものがあったりします。
移住して良かったことは自然を感じられるところですかね。特に癒やしを求めて来たわけではないのですが、「地球ってこんなにきれいだったんだ」と感じます。人間ってこんなところで生きて行くべきだよね、というように思います。実はあと1年位でこの仕事を後進にゆずって、結婚しようと思っているんです。相手は島の人なんですが、私が永住を決めたのは久米島に可能性を感じるからです。そこに関わることで何かが起きるのではないかと思えるんです。島の産業に関わる若い人が多いということでも可能性を強く感じます。そこに、外の世界を知っている人もきっと必要なんじゃないかなと思います。県外からの人で若い人やビジョンがある人が多いのも久米島の特徴ですね。
■移住してから出来た沖縄の知人
仕事柄出会いが多いからですかね。役場にも高校にもデスクがあるので、職場だけでもかなり広がります。やっててよかったな、と思うのはアフリカンドラムのバンド。趣味で入っています。仕事とはまた違った居場所を作れているのも大きいです。一人で移住していると、人間関係も狭まってしまいますから。
■移住の満足度
80点以上現状で満足しきっていないので、20点マイナスです。もうちょっとやりたいことがあるんです。まちづくりにダイレクトに携わりたいんですよね。民間の力が弱いし、行政はどうしても県や国に頼る所も。NPOなどの組織も少ないので、一人ひとりが関わるまちづくりの推進をしていきたいです。それが出来るようになれば、満点だと思います。