加藤直也(かとうなおや)さん

先輩移住者インタビュー

加藤 直也(かとう なおや)さん職業:藍染茶房 藍風 琉球藍染職人
長野県出身(移住年:2009年)
家族構成:妻

働き方も生き方も「自分次第」
ひとり旅からつながった沖縄での仕事と生活

地元長野を離れ、栃木の大学に進学した加藤さん。学生時代に、将来について漠然と決めていたことがあったそうです。ひとつは「大きな会社で働くこと」、そしてもうひとつは「どこでも生活できること」。そのことを実践するように、卒業後は地元の長野でも学生生活を送った栃木でもなく、静岡で大手メーカーのエンジニアとして一歩を踏み出します。

しかし、何万人という人が働く職場の中で、ふと自分が「米つぶ」のように小さな存在だと感じてしまうことがあったそうです。仕事では高い評価を貰い、収入も生活も安定した日々を送っていましたが、どこかで生きているという実感が持てなくなっていました。自分がすべきことは自分で決める生き方をしたい。そんな思いから会社を辞め、2カ月間本州を一周するひとり旅にでます。

旅を終えて今後の生活を考えた時に、南にある暖かくて楽しそうな沖縄で、のんびり暮らしてみたいと思われたそうです。気負わずに沖縄生活をスタートさせた加藤さんに、現在のお仕事である琉球藍染職人になるまでのお話を伺いました。

沖縄に移住してからの仕事や生活について教えてください。

沖縄に住んだら、アルバイトしながらのんびり暮らそうと思っていました(笑)。 最初に見つけたアルバイトはIT系で給料は良かったのですが、正社員になって東京の本社勤務もしたりして、結局また夜中まで働くような生活になってしまいました。気がついたら頭の中が仕事だらけになっていて、沖縄に住む前の会社員生活に戻っていました。

自分は与えられたことをするのではなく、本当にやりたいことをやっているのか。逃げるのは嫌だけど、これは逃げるんじゃなくて前に進むために必要なんだと思い、そこからまた自分探しのようなことを始めました。

沖縄に拠点は残しながら、東北の震災ボランティア、沖縄の離島で農家のお手伝い、沖縄本島のゲストハウスのお手伝いなど、期間を決めて全身全霊でさまざまなことに取り組みました。そんな中、ゲストハウスのお手伝いをしている時に、今の職場である「藍風」のスタッフから声を掛けてもらいました。お店は山の中で経験もない。どんな生活になるのか、給料のこととか、続けられるかとか、正直不安な部分もたくさんありました。ですが、なんでもやってみないとわからない。そう思って藍染の仕事を始めてみることにしました。

この仕事に就いて4年。自由な環境の中で、「やるべきことではなく、やりたいと思うことをしているか」を自分自身といつも対話しながら仕事をするようにしています。

驚いたことや苦労していること、良かったことを教えてください。

沖縄の人と結婚したので、やはり親族の結びつきの強さに驚きました。長野にいるときは、親族で集まるのは年に1回あるかないかでしたが、こちらでは行事が多かったり、妻も会ったことのないような一族の本家に挨拶に行ったり、遠い親戚の方が遊びに来てくれたり、良い悪いではなく繋がりの温かさを感じます。半面、行事の手配などもあって、今までした事がないので正直面倒だと感じることもあります(笑)。

収入は正直かなり少ないです。でも沖縄に来る前から分かっていたことなので、自分はまったく苦になりません。ただ移住された方の中には、その点で後悔している方もいらっしゃいます。

移住して良かったと思うことは、沖縄はいろいろな意味で開放的なところであり、自分次第で人の輪がどんどん大きくなっていくことです。自分の場合は、ひとり旅をしていた時に知り合った人との繋がりから今があると思っています。あと、やはり海にふらっと行って潜ったり、海沿いや山を走ったり、サイクリングをして沖縄の自然を堪能できるのが最高です。

■移住してから出来た沖縄の知人

50人。親しい友人の数です。自分次第でまだまだ増えると思います。

■移住の満足度

90点満点でもいいですが(笑) 。未知な部分があると思うので。あと、このあたりは自然もあり市街地も近くて好きです。