兵庫県出身の永濱頌大さんは、現在伊江島で島らっきょうと紅芋を作る農家として暮らしています。地元で製鉄業に従事していた永濱さんが、どのような経緯で伊江島に移住を決めたのかを伺いました。また、島の魅力や普段の暮らしについても教えていただきました。先輩移住者プロフィール名前:永濱頌大(ながはましょうた)さん職業:農家出身地:兵庫県姫路市移住した時期:2017年移住場所:伊江村ーーーまず初めに、伊江島について教えてもらえますか?はい、伊江島は沖縄県の北部に位置する島です。那覇からいらっしゃるのであれば、まず沖縄本島北部にある本部(もとぶ)半島の本部港へ向かってください。那覇からレンタカーで1時間半、高速バスなら2時間の距離です。そこからカーフェリーに乗り、30分で伊江島に到着します。村民にはカーフェリー乗船時に村民割引運賃が適用されます。伊江港〜本部港間の運賃は往復で430円なので、気軽に沖縄本島に行くことができます。(伊江港の様子)ーーー伊江島の人口はどのくらいですか?伊江島の現在の人口は約4200名です。そのうちの移住者の人数は、移住定住相談窓口を通じてこの4年間で29組、55人の方が移住されたと聞いています。ーーー気候についても教えてもらえますか?伊江島の気候の特徴としては、沖縄は亜熱帯気候なので1年を通じて湿度が高く、雨もスコールが多いです。特にゴールデンウィーク明けから6月末は梅雨となり、湿度が90%を超える日が続きます。夏は気温が30度を超える日がある一方、冬は10度台の日もあります。年間の平均気温は約23度です。島では常に海風が吹いているので体感的には夏は暑く感じず、冬は寒く感じます。(伊江ビーチ)ーーー永濱さんは、出身地である兵庫県から伊江村に移住されましたが、もともと伊江島はご存知だったのですか?伊江島の存在を知ったのは、家族で行ったフェスにたまたま出演されていた伊江島出身のアーティストAnlyさんを目にしたのがきっかけです。当時、私の母は大病を患っていましたが、初めて見るAnlyさんの曲や歌声に元気をもらい、少しずつ病状が軽くなっていきました。ーーーお母さまを音楽で元気づけたAnlyさんの地元が伊江島だったのですね。そこから移住を決めるまで、どのように話が進んだのでしょうか?母の病状が良くなり、父が伊江島にこのお礼をしに行った際、たまたま民泊を運営している方と知り合いました。その後、伊江島一周マラソンに出場するため父と私の2人で伊江島に行き、伊江島の民泊を経験させてもらいました。そこで伊江島の方のたくさんの温かさに触れたことと、仕事のお誘いを猛烈に受けたことで、移住を決めました。(伊江島一周マラソンに参加した際の永濱さん親子)ーーー島を訪れた際の地元の方との交流が、移住の大きな決め手になっているのですね。家探しはどのようにされましたか?また、家賃相場はどれくらいでしょうか?移住3年目までは、葉タバコ農家さんの寮のプレハブに住まわせていただきました。3年目以降は、菊農家さんの紹介でコンクリート造の一軒家を紹介してもらい、そこに今も住んでいます。家賃相場は3万円です。現在島には一般の空き家はほぼ無く、伊江島在住の方も家を探している方がたくさんいらっしゃる状態です。ーーー住まいを探している方が多いのですね。伊江村には、移住支援金や移住相談の環境はあるのでしょうか?私が移住した当時は相談できる場もなかったため、友達を増やしていろいろな情報を集めていました。しかし現在は、役場に移住相談担当の方がおり、移住するのは当時よりスムーズになっています。住みやすい環境が少しずつ整ってきていると思います。なお、併せて現在は移住促進住宅も整備されてきているので、条件が合えばそちらに入居することもできると思いますよ。ーーー役場に窓口があれば、移住に関する情報も集めやすくなりますね。永濱さんのご職業は農家ということですが、移住前から農業をされていたのでしょうか?いえ、もともとは地元の兵庫で製鉄業に就いていたのですが、伊江島に移住して3年目までは、菊農家さんや、葉タバコ、紅芋農家さんのもとでお世話になっていました。日当は6,000円から7,000円ほどです。3年目以降、農家になりたい思いが強くなり、島らっきょうと紅芋を作る農家として独立しました。(島らっきょうの畑で作業をしている様子)ーーー島らっきょうや紅芋は沖縄らしい野菜ですね。お休みの日はどのように過ごしておられますか?休日も、畑で何かしていることがほとんどです。ーーーそれでは生活環境についてお伺いします。日々暮らしていくなかで、買い物の環境に不自由はありませんか?買い物は、島内にスーパー2軒、コンビニ2軒あるので、特に困ることはありません。ただ、沖縄本島の2倍近い物価になっているので、なかなか高いなと思います。家にインターネットも繋いでいますので、Amazonなどで日用品を買うことが増えました。ーーースーパーやコンビニの実店舗と、Amazonなどのオンラインショップを併用されているのですね。台風の時は、どのように過ごされますか?停電することも多いのですが、ろうそくやガスコンロ、モバイルバッテリーなどがあれば大丈夫だと思います。食糧に関しては、カップ麺などを多少買いだめする必要はあります。台風時のスーパーには、何もありません。ーーー台風の時は、事前の準備が大切ですね。お住まいの地域は、学校や福祉施設の有無など、子供やお年寄りの方にも住みやすい環境になっていますか?はい、住みやすいと思います。小学校が2つと中学校が1つ、福祉施設もたくさんあるので、困ることは少なそうです。ーーー施設が充実していると安心ですね。伊江島の魅力や特徴は何でしょうか?特産品として、島らっきょう、冬瓜、マンゴー、伊江島牛、魚、貝など食べるものが豊富にあります。また自然が豊かで、綺麗な海でのスキューバダイビングも魅力です。伊江島は、農業や漁業が盛んな素晴らしい地域だと思います。(海から見る伊江島)ーーー美味しい食べ物や美しい自然が豊富にある環境は、とても魅力的ですね。永濱さんは移住されて数年経ちますが、近所付き合いはどのようにされていますか?地域で上手に暮らすコツなどがあれば教えてください。まず顔と名前を覚えてもらうために、しっかりと自己紹介ができる事が必要です。地域の陸上大会や、エイサー、村踊り、清掃など、はじめは積極的に参加して顔を覚えてもらうこと。そして、無理なら無理と言うことも必要だと思います。(重要無形民俗文化財の「村踊」の様子)ーーーお祭りなどの行事だけでなく、清掃活動にも積極的に取り組んで、地域の方に覚えてもらうことが大事なのですね。ところで、移住して困ったことは何かありますか?初めの2年間は、定住したくても借りられる家がなかなか見つからず困りました。そして、自身の事業の規模拡大をするための将来設計として宅地などを買いたくても、なかなか見つかりづらい状況もあります。私は運良く見つかりましたが、いろんな方と情報交換しつつ、根気よく待つしかないと思います。ーーーやはり、周りの方々とのコミュニケーションがとても大切ですね。今後の夢や目標を教えてください。目標は、畑も規模拡大しつつ、第6次産業の加工までできるようにすることです。夢は、今まで伊江島に無かったような農業をして、多くの収益をあげられる農家になることです。(作業場での様子)ーーー大変貴重なお話、ありがとうございました。最後に、移住希望者に向けたメッセージやアドバイスを教えてください。小さな島なので、人間関係は大切にしましょう。僕の場合、やりたいことに本気で向き合った結果、それに付き合ってくれる友達や先輩、後輩がたくさんできました。もし、何かやりたいことができたのならば、口ではなく行動で示すのがいちばん良いと思います。