いま沖縄県では、東村などにお住まいの小学生・中学生を対象に、オンライン学習塾サービスを無料で提供する取り組みを行っています。このオンライン学習塾サービスの特徴は、東大生による授業を、zoomを利用してリアルタイムで受講できる点にあります。東大生ならではの高度な知識や学習テクニックを、遠隔・リアルタイムならではの緊張感のある授業を生徒たちに届けています。今回、このサービスを活用しているご家族と東村の教育委員会担当者にお話を伺いました。・金城美鈴さん<右>:東村教育委員会係長・石川元就(もとなり)くん<真ん中>:利用者本人 東中学校3年生(15歳)・石川愛さん<左>:保護者ーこんにちは、今日はよろしくお願いします。まずはじめに、このオンライン学習塾のサービス内容を教えてください。金城さん現役の東大生による講義を、Zoomを通して受講できるものです。オンラインの対面形式なので、参加している子どもたちは質問もできます。2022年から東村の子どもたち向けに提供が開始されました。現在、小学校5年生から中学3年生までの児童生徒が利用しています。教えている教科は、中学3年生が国語、数学、英語の主要3教科で、中学2年生と1年生は数学と英語の2教科、小学生は算数と国語の2教科となっています。ー子どもたちは無料で利用できるのですか?金城さんはい、オンライン学習塾は、沖縄県が運営事業者に補助を行っているため無料です。2024年度からは、受講生の参加意欲を高めるためにテキスト代を負担していただくことを検討していると県から伺っています。ーそもそも、なぜこのオンライン学習塾を導入しようと思ったのでしょうか?金城さん東村には学習塾がなく、一番近い塾となると名護市内になります。ですが名護の塾に通うには車で片道40分近くかかってしまうんですね。そうすると子どもたち本人も大変ですが、親御さんも塾でお子さんを迎えた後に家事をすることになり、日々の負担がとても大きくなってしまうのです。そのようなこともあって、東村では以前から村外にある塾から講師を招き、村にある施設で塾を開校していました。当時は何人もの講師の方を派遣してもらって授業を組んで運用していたのですが、講師と日程が合わない時の調整が非常に難しいことが問題でした。そこで、オンラインで実施すればこのような問題がなくなるのではないか? まずは導入してみよう、という話になりました。ー何人ぐらいのお子さんが利用しているのですか?金城さん現在、利用している子どもの数は19名です。利用者全員が全ての教科を受講しているわけではなく、この教科だけ受講したいとか、ひとつ上の学年の授業を受けさせたいとか、それぞれのご家庭のご要望に沿って個別対応しています。ー村内にある学校の学力は、現状どのようなレベルにあるのでしょうか?金城さん東村の学力が他の地域に比べて低いということではありません。ただ、村として、子どもたちの教育を受ける機会の格差をなるべく無くすための取り組みに力を入れています。その一環で、このオンライン学習塾のサービスの導入も決まりました。ー金城さんありがとうございました。では次に、ご利用されている石川さんにお聞きします。このサービスはどこで知りましたか?石川愛さん(以下 愛さん)パンフレットでこのサービスを知ったのがきっかけで、説明会に参加しました。ーこのオンライン学習塾を利用しようと思ったのはなぜですか?愛さん息子が通っている中学は3年生が十数名しかいない小さな学校です。そのため、息子の学力が実際にどれくらいなのかも分からないですし、まだ小学生の時はそれでも良かったのですが、中学生になると高校受験もあるので心配でした。初め息子は名護にある塾に行きたいと言っていましたが、名護まで通うとなると時間もかかります。ましてや部活をしながら通うとなると、塾まで送る時間も調整する必要がありますし、主人も私も仕事をしているので、正直、送迎の負担がかなり大きいと思いました。そんな時にこのサービスのことを知って、まずはオンライン塾でどのくらい効果があるのかやってみよう、という話になりました。ー今まで塾に通ったことはありますか?石川元就くん(以下 元就くん)塾を利用するのは初めてです。以前東村で開講していた塾は対象学年が中学3年生からだったので、そのときはまだ塾に入ることができませんでした。ー今までオンラインで授業を受けたことはありますか?元就くんありません。ー受講にあたっては自身でのパソコン操作は必要なのでしょうか? 元就くんみんなで集まって、大きな画面で先生の講義を受けるので、自分たちでパソコンを操作する必要はありません。ーこのオンライン学習塾を利用してみて良かったことは何ですか?元就くん動画を見るだけのような一方通行な教材ではなく、分からないことがあればリアルタイムで直接質問もできますし、質問に対してその場で回答をもらえます。講師の方とのやり取りがリアルタイムでできるのはとても良いですね。先生の教え方も、とても分かりやすいです。あと、全国統一のテストを無料で受けられるのも良いです。全国向けなので問題の難易度は県立高校の入試とは全く違ってとても難しいです。県立の入試だったらもっと点数を取れたかもしれないなと思う時もあります。例えば、この全国統一テストでは学校では教わっていない問題も出るんです。自分は点数が低いとがっかりするタイプなので、以前はモチベーションが下がることもありました。でも最近では、県外と県内の入試レベルの違いも理解ができてきましたので、全国で何位という順位については、腕試しのチャンスと言いますか、高校進学に向けたステップアップのためだと前向きに捉えています。それに、いま学校では中間、期末というような定期テストがなくなって教科ごとの単元テストになったので、順位が出ません。なので、全国統一テストが自分の順位を唯一知ることができるテストなんです。今後はオンライン塾で沖縄県向けの入試対策の授業も始まると聞いているので、それも楽しみです。ーこのオンライン学習塾を利用して成績は上がりましたか?元就くん 定期テストがなくなって学校では順位が出ないので、成績が上がったかどうかははっきり分かりません。でも、下がってはいないと思います。いま、学校よりオンライン塾の方が先に進んでいる教科が国語しかないので、その他の教科に関しては、塾は学校の復習みたいな感じで利用しています。なので、成績が上がったかどうかというよりは、学校で理解ができていない部分を塾で復習して、理解できるように自分に落とし込んでいるという感じです。より深く理解することができて、知識の土台がちゃんと固まってきているなと感じています。ー学習に対する意識は変わりましたか?元就くん テキストには沖縄県の入試では出題されない問題も載っていて、すぐに解き方が分からないこともあります。そういう時は、解き方が分からなくても、自分の知っている知識でなんとか解いてみようと挑戦しています。解けなくても解こうとすることが大事だと思っているので、何かしら頑張って回答欄を埋めるようにしています。どうやって解くのだろう?と悩んでいる時のほうが、解き方が分かっている問題より楽しいです。もちろん、その一般的な解き方を知ることもできるので、それもとても有意義だと感じています。ーこれからも利用し続けたいですか?元就くん 全国レベルの問題を知ることができるのは、自分にとっては大きなことだと思っています。そのような問題の解き方の解説がきちんと載っている教材ももらえて、さらに東大生に教えてもらえるのが嬉しいです。なので、今後も利用し続けたいと思っています。ーオンライン塾を他の方にも勧めたいですか?元就くん そうですね。もし、後輩に勧めるとしたら、きちんと自分なりに目的を持って受講した方が良いと言います。親に言われたからただ来ている、というのではなく、例えば、応用問題を解くポイントだけはちゃんと学ぼうとか、そういう目的意識があれば、基礎をしっかり学べると思います。学校には明確に何を学んでほしい、というものがありますが、塾にはそういうものがありません。なので自分なりに塾に通う意味、目的をしっかり持つことが自分の成長に繫がる近道だと感じています。ーよくわかりました、今日は長い時間ありがとうございました!金城さん、愛さん、元就くんありがとうございました。【サービス解説】オンライン学習塾「東大NETアカデミー」について全国の自治体の生徒に対し、テレビ会議システムを活用して双方向性のある授業を提供することで、都心レベルの学習環境を創るサービスです。日本全国や海外など、場所を問わずオンライン双方向授業を配信しています。講師と生徒がリアルタイムでコミュニケートできるため、その場で質疑応答を行い、生徒の理解度を確認しながら授業が進められます。1人の講師につき生徒数が15人程度の少人数制となっています。講師は現役東大生のみである点も大きな特徴です。選考により厳選され、さらに研修を受けた、指導力と対話力、熱意のある講師が授業を受け持っています。お問い合わせ先東大NETアカデミー〇沖縄指導センター098-943-5655(担当:松川、新垣)〇東村教育委員会0980-43-2130(担当:金城)