地域の力になりたい!と始めたシークヮーサーでの商品づくり、そしてこれからも広げていきたい地域との繋がりそこから今メインで作っているシークヮーサーバターづくりに行くまでには、また少しストーリーがあるんです。前述した山の中で暮らしていた時の家も自分で作っていたのですが、その家を作っている期間、カフェがじまんろーに通っていまして、朝は作業、昼はカフェでゆっくりするという生活を、週3くらいでやっていたので、お店の方とも仲良くなり、いつの間にかお店を手伝うようになったんです。お店で三線を習ったり、家がまだ完成していなかったので、ご自宅のお風呂を貸してくれたりと、まさに家族のように助けてくれました。そんな中で、シークヮーサーが取れすぎて値段が暴落した時があって、農家さんが大ピンチになったんです。がじまんろーさんもシークヮーサーを栽培しているのですごく困ってしまっていて、自分もお世話になっているので少しでも貢献しようと思い、シークワーサーを丸ごと使ったジャムをつくろうと思い立って、製造許可をとりました。確か2016年くらいだったと思います。最初は小規模に始めて、規模を拡大する中で、旧道の駅の加工場を利用させてもらうようになりました。シークヮーサーの木々の木漏れ日を浴びながら皮までまるごと入れたシークヮーサージャムから、シークヮーサーバターに変えた一番の理由は、果汁をたっぷり使って、自分が好きなレモンカードのようなものをつくりたかったからです。自分でレシピを考えて作ったら、これが美味しくて!最初に売っていたのは知り合いや村内のお店だけでしたが、シェフをしているパートナーが「美味しいんだから、もっといろんなところに置いたら?」と言ってくれて、まずは自分が働いているお店で置いてもらったところ、かなりのペースで売れたんです。これは売れる、だからちゃんと「商品」にしなければ!と思って、ラベルも作り直し、県内各所に営業するようになりました。当初は県内各道の駅に営業をかけ、南部まで自分で届けていたりもしました。沖縄中の様々なお店で置いていただいた事で、評判を聞いて、今では県内の高級ホテルさんにも置いていただいています。カラキという、シナモンのような沖縄在来の植物を使った商品も作っていますが、次の展開も考えていまして、今度はシークヮーサーの皮を利用して、精油とフローラルウォーターを使った新しいプロダクトを作ろうと思っています。今は個人で生産をしていて、繁忙期だけ友人や加工に興味ある方にお手伝いをお願いしているんですが、食材が豊富な地域なので、地域の人も加工品づくりに興味がある人が多くて、出来ればそういう方たちと一緒に、自分の商品だけじゃなくて、地域の食材を活かした商品展開なども行っていきたいですね。私自身に、「この地域をこうしたい!」という強い思いがあるわけではないんですが、少しでも地域の役に立てばいいなと思っています。移住して驚いたこと、困ったこと一度も沖縄から出ようと思ったことはありません。移住してから本当にいろんなことをやってきたので、東京で貯めてきたお金は一旦ゼロになってしまいましたが、そこからが面白かった。今は自分のやりたかったことが出来ているなあと実感します。多分不便を不便と感じていないんでしょうね。お湯をかまどで沸かして行水していた時期も、楽しいなーって思えていました。キャンプ的な捉え方だったんだと思います。ただ1度だけ怖いと思ったことはありました。山の上に一人で住んでいた時、トイレが屋外だったので、夜でも一回外に出ないといけないんです。そんな時に暗闇でイノシシに吠えられたんです。このときはさすがに、一人で生きていくのは無理だと思いました(笑)北中城に住んでいた時も大家さんにかわいがってもらい、模合(※)に誘ってもらったりしていて、常に人と繋がり続けているという感覚があるので、寂しいと思うことはほとんどなかったですね。生まれ育った土地にはほとんど地域行事が無く、そういう行事に以前から興味があったので積極的に参加していきました。沖縄の家族の関係性の近さが新鮮で、入り込むのが好きだったんでしょうね。今も地域の常会には参加したり、共同売店でおじいたちと飲んだりしています。大宜味村の根路銘に住んでいた頃は豊年祭の踊りも参加していました。自分から積極的に地域に入ることで、受け入れられていったのではないかと思っています。※模合:沖縄で広く実施されている、相互扶助システムで、グループで毎回いくらか一定のお金を出し合い、メンバーがそのお金を一人ずつ順番に受け取っていく。沖縄以外では無尽(講)、頼母子講などと言われるようなもの。移住して良かった点なんといっても、自然がそばにある暮らしですね。昨日もシュノーケリングをしましたが、普通にウミガメに会えちゃうんです。私としては、もうそれだけで心地よい暮らしが出来ている感覚があって、海や山で自分をリセットできているんです。大宜味村の海 シークヮーサーバター等を販売する、池中さんのブランド『nunokinawa』https://nunokinawa.theshop.jp/前編を読む|大好きだった都心での生活、でも1週間の沖縄トリップで感じた、「私がいるべき場所」という感覚 おきなわ島ぐらし|大宜味村移住情報沖縄の先輩移住者インタビュー一覧へ